遺伝子組換え作物(GM作物)って!?調べてみた
最近なにかと話題になっている、遺伝子組換え作物ですがその現状について科学的な見方から書いていきたいと思います。
まず、"遺伝子組換え"の定義は何でしょう...?
"遺伝子組換え"とは、生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、植物などの細胞の遺伝 子に組み込み、新しい性質をもたせることを遺伝子組換えといいます。(厚生労働省ホームページより)
例えて言うなら、ある植物が特定の害虫に対して弱いとき、その害虫に対する抵抗性を持っている植物の遺伝子をもう一方の植物のDNAに組み込み、新しい性質を持たせることです。
日本ではどのくらい遺伝子組換え作物が輸入されているの・・・??
「トウモロコシ」についてみてみましょう。
日本ではトウモロコシの自給率は0%*1で、ほとんどを輸入に頼っています。
現在、輸入の72.5%(1051.2万トン)を米国が占めており、最大の輸入相手国となっています。その米国では作付け面積の93%が遺伝子組換えトウモロコシのとなっています。これより多くの遺伝子組換えトウモロコシが日本国内に輸入されているとわかります。
他にも、ダイズ、ナタネ、ワタなどの他の作物でも、多くの遺伝子組換え作物が日本国内では流通しています。
日本で流通している遺伝子組換え作物の安全性は・・・?
日本で多くの遺伝子組換え作物が流通しているのは事実です。これらの安全性が皆さんの気になるところでしょう。それについて書いていきたいと思います。
まずこれらの安全性は厚生労働省が科学的根拠を元に主に5つの観点からみてチェックしています。
❶組み込む前の作物(既存の食品)、組み込む遺伝子、ベクター(遺伝子の運び屋)などはよく解明されたものか、人が食べた経験はあるか。
❷組み込まれた遺伝子はどのように働くか。
❸組み込んだ遺伝子からできるタンパク質はヒトに有害でないか、アレルギーを起こさないか。
❹組み込まれた遺伝子が間接的に作用し、有害物質などを作る可能性はないか。
❺食品中の栄養素などが大きく変わらないか。
※以上のデータを総合的に評価しても、なお安全が確認できない場合は、必要に応じて動物を使った毒性試験などを行います。
※新たな科学的な知見が生じた場合は再評価を行います。
(厚生労働省ホームページより)
輸入時には抜き取り検査を行っています。
(詳しくは別の機会に書こうと思います。)
目的別に見る遺伝子組換え植物の種類
では、なぜ遺伝子組換え作物を栽培しているのでしょうか・・・?
簡単に言うと、
- 害虫や、除草剤などに対して抵抗性を持たせたもの。(第一世代)
- 作物の成分を変えて食べる人に利益をもたらすもの。(第二世代)
の2点です。
第一世代のものはいわずもがな生産者(労働が楽になる)にも消費者(価格が落ちるなど)にも大きな利益があります。
ここでは、”作物の成分を変えて食べる人に利益をもたらすもの(第二世代)”について説明しいきたいと思います。
第二世代のものの代表例としては、
高βカロテン(ビタミンA)のコメ(ゴールデンライス)があります。
これは発展途上国で、ビタミンA欠乏による失明などが問題となっていることに対して、それらを解決するために作られたもので、普通のコメには含まれていないβカロテンを遺伝子組換えによってコメに含ませ、普段から摂取することでビタミンA欠乏を減らそうというものです。
他にも、日持ちの良いトマト(フレーバーセーバー)や、高オレイン酸ダイズなど様々なものがあります。
世界における遺伝子組み換え作物
- 遺伝子組換え作物の栽培面積は増加傾向にあります。
- 遺伝子組換え作物の栽培国のうち、アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、カナダ、インドで全栽培面積の約91%を占めています。
- 2014年のアメリカでの遺伝子組み換え作物の栽培面積比率は、ダイズが94%,トウモロコシが93%となっている。
ここからわかるように、まだ一部の国でしか商業栽培がされていないが、年々確実に遺伝子組換え作物の量が増えているとわかります。
最後に
今後、私たちの生活の中に今より多くの技術が入り込んでくると思われるので、正しい知識を身につけて、個々人が周りに流されず、きちんとした判断をしていくべきだと思います。
*1:ただしスイートコーンは除く